JFA静岡支部学術担当:吉村章弘

 2007年2月11日、赤坂プリンスホテルにおける『日本フラボノイド研究会第9回全国大会』で、Dr.W.シュワーベ製薬 国際事業本部 アジア統括責任者 医学博士コーネル・マーチンの講演を聞きました。その時の資料に解説を加えてまとめてみました。

特別なイチョウ葉エキス「EGb761」

血管内皮傷害に関する作用メカニズムのおさらい

◎赤血球膜保護
 イチョウフラボノイドは細胞膜表面に存在でき、そこで抗酸化作用を発揮できる。当然、赤血球膜を正常な状態で維持するのに役立つ。これは血液の粘度を下げるのに役立つ。
 血液の粘度が低いということは、赤血球凝集能も低く抑えられることにつながる。

◎血小板活性化因子(PAF)を抑制
 PAFは局所的に作用するものだが、血小板に作用すると種々の反応が誘発され血流は阻害される。

◎一酸化窒素(NO)やプロスタサイクリンを遊離
 NOは血管内皮細胞から分泌され、平滑筋を弛緩させる。
 プロスタサイクリンはアラキドン酸から作られる局所ホルモンで、プロスタグランディンI2(PGI2)のこと。
 プロスタサイクリンには、強い血小板凝集抑制作用と血管平滑筋弛緩作用がある。細胞内のcAMPの働きを強力に高める。
 プロスタサイクリンは若い細胞では,多く作られ,老化した細胞では作られなくなる。

 以上の働きによって、イチョウ葉エキスは血液および血管に作用し血流の改善に期待できる。


2006年の研究発表

☆ヒトのアテローム性動脈硬化抑制効果がある。

・「EGb761」(240mg/day、2ヶ月以上)によりハイリスク患者のナノプラーク形成を減少させた。

・アテローム性動脈硬化リスクを示唆する生理的パラメーターを改善した。

 生理的パラメーター:SOD活性、酸化LDL/LDL-指数、LP(a)、cAMPとcGMP濃度

▼用語の説明

・《ナノプラーク》はアテローム性動脈硬化の最初のきっかけとなるもの。

・《LP(a)》は、LDLのアポ蛋白であるアポB-100に、アポ蛋白であるアポ(a)が結合して構成されるリポ蛋白。血液中のLP(a)濃度と、冠動脈疾患や脳梗塞の発症に正相関がある。LP(a)中に含まれる脂溶性の抗酸化物質量はLDLより少なく、LDLより酸化されやすい。酸化LP(a)は濃度依存性にLDLより強く血管拡張を阻害する。LP(a)およびアポ(a)は、用量依存性に血管平滑筋細胞の増殖を促進する。

・《サイクリックAMP》も《サイクリックGMP》もセカンドメッセンジャー。細胞内で働く物質で、ホルモンによる外からの連絡を核に伝えるもの。つまりこれが減ると代謝は悪くなる。


2007年の研究発表

☆精神神経的特徴を有す認知症に対するEGb761。

・無作為、プラセボ対照二重盲検法による臨床試験

 アルツハイマー病、または血管性痴呆患者400名に「EGb761」240mgまたはプラセボを22週間投与。
 認知障害、精神神経症状、日常の活動性、流暢なしゃべりなどを有意に改善した。

∴EGb761は認知症の治療に有効であった。

 認知症の認知に関する全ての特徴および認知以外の特徴を表している患者に対し、EGb761は精神神経症状、日常の活動性、および認知機能を改善した。
 
したがって、EGb761は患者のみならず、家族や介護者の苦労をも軽減するものである。


品質について

 異なる製造過程で製造されたイチョウ葉製品(シュワーベ社以外の製品)は、シュワーベ社の科学的根拠を訴求できない。

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