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共役二重結合とは?

 共役リノール酸のおかげで「共役(きょうやく)二重結合」というのを少し勉強してみました。

 トマトはなぜ赤いか、なんてのも共役二重結合が関係していたんです!
 トマトやにんじんなど赤系の色の野菜に含まれるβ−カロチンリコぺンは、「共役二重結合」という構造をたくさん持っているために、赤く見えるということなのでした。

 共役二重結合とは、炭素(C)が二重結合、一重結合、二重結合と並んでいる(単結合が二重結合にはさまれている)状態を言うってことは共役リノール酸のところにも書きました。

つまり、
・・・−C=C−C=C−C=C−・・・
と並んだ状態だということです。

  これを、リノール酸で言えば、

普通のリノール酸は、
C−C−C−C−C−C=C−C−C=C−C−C−C−C−C−C−C−CO2

共役リノール酸は、
C−C−C−C−C−C−C=C−C=C−C−C−C−C−C−C−C−CO2
C−C−C−C−C−C=C−C=C−C−C−C−C−C−C−C−C−CO2

などと、なっているわけですね。

 そして、普通のリノール酸は、カルボキシル基(右側の【−CO2H】)から数えて9番目12番目の炭素(C)が両方ともシス型で結合しています。これを「9シス,12シス」と書いたりします。
 上記の共役リノール酸では、9番目と11番目、または10番目と12番目の炭素が問題になるわけです。それらの結合の仕方が、それぞれ「シス/トランス」や「トランス/シス」、または「シス/シス」や「トランス/トランス」など多種類のものがあるようです。
 その中で、生物活性の高いものとして「9シス、11トランス」または「9トランス、11シス」のタイプのものが注目されているようです。

*シス型はけっこう簡単にトランス型に変わりますが、いったんトランス型になると簡単にはシス型に戻れないという事実があります。

*共役リノール酸がなぜ多彩な生理作用を示すのかは、現在のところ根本的なことは分かっていないようです。

リノール酸の話から離れて、共役二重結合の話に戻ります。

 最初に少し言いましたが、共役二重結合は物質に色が着く構造の一つなのだそうです。
 この、共役二重結合が5つ以上連続してつながると着色します。

 共役二重結合が増えるにつれ、

黄色

橙色

朱色

赤色

茶色

褐色

黒色

に変化します。

 β−カロチンとリコペンには、共役二重結合がそれぞれ11個ずつあり、β−カロチン橙色リコペン赤色をしています。トマトには、このリコペンが多く含まれるため、赤色をしているのです。
 
 共役二重結合の数が同じなのに、なぜβ−カロチンとリコペンの色が違うのか?
 リコペンは15個の共役二重結合の両端から2つ目の二重結合が単結合に変わったため、11個になっているので、全体としてはβ−カロチンよりも色が濃くなる構造をしているからだそうです。
 β−カロチンの二重結合の数は11個で、全てが共役二重結合です。しかし、リコペンは全部で13個ある二重結合のうち11個が共役二重結合になっているということです。


 

 それから、最近、β-caroteneは、β−カロチンと言うよりβ−カロテンと言うことが多いようです。また、lycopeneは、リコペンともリコピンとも言います。
 両方とも抗酸化作用が強く、活性酸素の除去に有効でしょう。

(2001年11月)

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