最近、立て続けに二つのトンデモさん的文章に出会ってしまいました。両者ともに、某メーカー営業担当者が販促資料又は勉強してくれと言って持ってきたものだというのが悲しい現実。 後で調べたらその著者は二人ともかなり有名な人で、本もたくさん出しているようですね。 ★今回は【安保徹(あぼとおる)】という人の本。 この人は「免疫革命」という本で有名ですが、西原克成さんと同じ穴のムジナみたいです。 とりあえず「免疫革命」「ガン免疫力」の2冊を読みました。 免疫力を担っているのは血液中の白血球で、それは顆粒球とリンパ球に大別される。 この白血球の中の顆粒球とリンパ球の割合は自律神経にコントロールされており、自律神経はその人の精神状態により変化する。 交感神経優位になると顆粒球が増加し組織を障害し化膿性の炎症が起きる。 一方、副交感神経優位になるとリンパ球が過剰になりアレルギー疾患が起こりやすくなる。 この理論をもとに、著者が提唱する「自律神経免疫療法」とやらの話を展開するのですが、実は数ページもあれば終わってしまうような内容しか書いてありません。 全然展開しないんです。 どうでもいいような同じ内容を何回も繰り返し、そこに自分の仮説による体験談を挟み込み、従来の医療を否定するという退屈な本。 もしかしたら、安保さんの話を聞いてゴーストライターが書いているのかもしれない、なんて勘ぐります。 この理論というほどのものでない仮説が正しいかどうかは分かりませんが、結論はありきたりの“バランスが大切だ”ということになっています。 免疫系は神経系と内分泌系とが相互作用している複雑なシステムですから、自律神経と無関係でないことは誰でも知っています。 その当たり前のことをことさら強調して新理論だというところに「トンデモ」の匂いがプンプンするのですね。 でも、複雑な免疫システムをこんな簡単な図式に仕立て上げたら、免疫を正しく理解することは不可能ですよ。 尤も、 そこが分かり易く一般人にウケるのかもしれないんですがね。 新しい理論だというのなら、もっと科学的な筋道立てた説明が欲しいし、一般書なんかでいばってないで専門家の集りの中で論文として発表して欲しいです。 そして、そこで認められてこそ初めて信用できることになるのではないんでしょうか。 だいたい、本の内容のほとんどが仮説で埋まっているのも問題だし、その仮説も自分のデータから導き出しているだけだから、説得力に乏しいんですね。客観性が無いです。 さらに、詰めの部分での科学的な理論が無くがっかりです。 過去の理論の積み重ねや、偉大な蓄積である先見的事実に基づいて打ち立てた仮説でないと、単なるホラ話で終わってしまいますよ。 従来の説を否定しなければ通らないような仮説の場合は、その従来の説を否定するための科学的根拠を示さなければ説得力はないし、単なる思いつきになってしまうでしょう。 そして、自分の治療法を勧めるのみならず従来の治療法を否定する物言いは、危険なだけでなく「悪質だ」という医師もいるほどです。 安保さんの本には、日常生活での具体的な健康法としては良い事もいっぱい書いてあります。 でも、一部の人のことをさも全てがそうだという感じで話したり、当たり前のことをことさら強調してみたりというのが「トンデモ」さんっぽいのです。 で、ついでといっちゃあ何ですが、「体温免疫力」という本も読みました。 私もモノズキですね(^^ゞ この本には笑える話が一杯です。 だいたいコウモリは鳥類じゃないし(-_-;) どこがどうおかしいかを考えながら読むと、活字に騙されない練習になるかもしれません。 そういう意味でオススメの本です)*o*( |