媚多眠氏:さて、今回は血液型の裏検査の話です。表検査の話は理解できましたか? 迷ホラ吹き:赤血球に付いているA抗原とかB抗原とか、「抗原」を調べるのが表検査だってんでしょ? H抗原なんてのが出てきてビックリしましたけど・・・。 ぼやき先生:表といえば裏、抗原といえば抗体、ということで、血球の抗原に対して血清中の抗体を調べるのが「裏検査」ということなんだな。 迷ホラ吹き:「こうたい」は聞いたことありますけど、どういうことですか? 媚多眠氏:簡単に言うと、抗体とは特定の相手に対してだけ結合できるタンパク質のことですね。と言いますか、抗原に結合できるタンパク質、と言えばいいのでしょうか。 ぼやき先生:抗原と抗体は特定の一対一で、浮気をしない結合ということなんだ。 迷ホラ吹き:ふ〜ん、浮気をしないんですかぁ。えへへ、で、その結合にはどんな意味があるんですか? ぼやき先生:何を笑ってるんだか知らんが、赤血球の場合は固まってしまう。 迷ホラ吹き:やっぱり。そりゃイイってゆ〜か、まずいってことですネ。 ぼやき先生:何がやっぱりだかイイんだか知らんが、A型の人がB抗原に対する抗体を持っていても大丈夫なんだが、A抗原に対する抗体を持っているとまずい、ということは分かるかな。 迷ホラ吹き:自分の血が固まっちゃいますから、そういうことになりますね。 媚多眠氏:B型の人はその反対です。 迷ホラ吹き:了解。 ぼやき先生:この時、A抗原に対する抗体を「抗A抗体」と言い、B抗原に対する抗体を「抗B抗体」と言うってわけさ。 媚多眠氏:A型の人は抗A抗体を持っていないということです。でも、抗A抗体以外の抗体は持っているんですね。そして、B型の人は抗B抗体以外の抗体を持っている、ということなんです。 迷ホラ吹き:ちょっとややこしいけど、了解。 ぼやき先生:では、AB型の人はどうなっているか分かるかい。 迷ホラ吹き:A抗原もB抗原も持っているということですから、どちらの抗体があっても固まっちゃいますね。 媚多眠氏:ということは? 迷ホラ吹き:どちらの抗体もない、ということですか? ぼやき先生:そういうことだな。では、O型の場合は? 迷ホラ吹き:抗原がないんだから、両方の抗体を持っているんですか? 媚多眠氏:そうです。 ぼやき先生:しかし、抗H抗体は持っていないことになるだろうな。 迷ホラ吹き:おおぉ、O型はH型でしたっけ。 ぼやき先生:そういうこと。基本的に、全ての血液型が抗H抗体を持っていることはないはずなんだ。 迷ホラ吹き:全部H抗原を持っているからですね。でも、何で、そんな面倒くさい抗体なんてのを持っているんですか? ぼやき先生:そりゃあ、真当な疑問だな。 媚多眠氏:そう言えばそうなんですよね。輸血をしたとかあるんならともかく、なぜ抗体があるのかは疑問なんですよ。だいたい、赤ちゃんは抗体を持っていないと聞いていますしね。 迷ホラ吹き:ええー、赤ちゃんは抗体を持っていないんですか。じゃあ、裏検査はできないってこと? ぼやき先生:だから、今では新生児の血液型検査はしないんだ。正確な血液型を調べるのには、まず赤血球に抗A抗体と抗B抗体を反応させる「表検査」と、血清にA抗原とB抗原を反応させる「裏検査」をする必用があるということだからな。 媚多眠氏:で、抗体はいつどこで作られるんですか? ぼやき先生:腸内細菌が影響している、という説が有力なようなんだ。 媚多眠氏:でも、抗体の種類はどうなるんですか? ぼやき先生:腸内細菌は全ての抗体を作らせようとするらしいんだが、我々のからだは、自分の血液型の抗原と反応する抗体を作らせなくするようになっている、ということだ。 詳しいことはよく分からんのだがね。 媚多眠氏:なるほどね。 ぼやき先生:ところで、O型同士の結婚から生まれる子の血液型は何型か、と聞かれたら分かるかい? 迷ホラ吹き:先生、そんなの中学生だって知ってますよ。O型同士からはO型の子供しかできません。 ぼやき先生:と思うだろうが、A型やB型の子ができる可能性もあるんだな。 迷ホラ吹き:(☆_★) ぼやき先生:A抗原やB抗原をコードする遺伝子があるのと同じで、H抗原をコードする遺伝子もあるというのは分かるだろう? 迷ホラ吹き:まあ、分かります。 ぼやき先生:そのそれぞれをA遺伝子、B遺伝子、H遺伝子と呼ぶことにすると、それらが全てちゃんと働いたら何型になるか分かるかな? 迷ホラ吹き:AB型ですね? ぼやき先生:その時、H遺伝子だけに変異が起きてH抗原が出来なかったらどうなる? 媚多眠氏:A抗原もB抗原も、H抗原がないと糖鎖にくっつけないということですから・・・。 迷ホラ吹き:その人はO型ですか!? ぼやき先生:そういうことになるだろうな。 迷ホラ吹き:H抗原もないわけだから、正真正銘のゼロ型? ぼやき先生:表現型はO型ということになるわけだ。 媚多眠氏:それで、A遺伝子を受け継いだ子はA型、B遺伝子を受け継いだ子はB型になるということですね。 迷ホラ吹き:ムムム・・・、O型同士からA型やB型か。なるほどねぇ・・・。 ぼやき先生:このボンベイ型の人は、輸血上の注意も必要なんだな。 媚多眠氏:表現型はO型でも、H抗原がないということでA抗原もB抗原も発現してないわけだから、全ての抗体を持つことになるわけですね。 迷ホラ吹き:すると? ぼやき先生:通常、どの血液型でも必ずH抗原と、A抗原かB抗原を持っているわけだから、全ての抗体を持つボンベイ型はどの抗原に対しても反応してしまう。 迷ホラ吹き:O型の血液でも固まっちゃうんですね。 媚多眠氏:O型の人は抗A抗体と抗B抗体を持っていますからね。 ぼやき先生:こういう血液型の人は、同じボンベイ型の血液しか輸血できないということになるんだ。 媚多眠氏:裏検査の重要性が分かりますね。 ぼやき先生:あと、表検査や裏検査は関係ないんだが、AB型とO型が結婚してAB型やO型の子供が生まれることもあるんだな。 迷ホラ吹き:そんなぁ。AB型とO型だったら、普通はA型かB型の子しか生まれませんよ。家庭争議のもとじゃないっすか!? ぼやき先生:それが、実際にあった話なんだな。この理由はそのAB型にあったんだ。 媚多眠氏:特殊なAB型ということでしょうか。 ぼやき先生:そう。その特殊なAB型は、一対の染色体のうちの片方にAB両方の遺伝子が存在する「シスAB型」というものなんだ。 媚多眠氏:通常は一対、つまり2つの染色体にそれぞれA遺伝子とB遺伝子があるのがAB型ですよね。 ぼやき先生:そして、染色体というのは両親から1本づつ受け継ぐことになっているんだ。 媚多眠氏:通常のAB型はその一対が「A」と「B」ですが、シスAB型は「AB」か「O」になっているということですね。そして、O型は「O」と「O」です。 迷ホラ吹き:なるほど! ぼやき先生:どうだい。こういったことを勉強すると、ABO式血液型と性格の関係など、如何に虚しいかが分かるってものじゃないかな? 媚多眠氏:お酒を飲み過ぎて虚ろな目をしていると、何も見えなくなるってことですね。 迷ホラ吹き:)*o*( |