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ライフサイエンス社の医学雑誌「治療学」2008年3月号に分子栄養学三石理論について執筆しました。



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ぼやき先生のぼやき …その1

●サプリメントについて

 サプリメントは「補助するもの」といった意味で、栄養補助食品のことを指している。単に、いわゆる健康食品のことを言う場合もあるがね。

 健康食品を販売している会社は、有名メーカーから無名メーカーまで数えきれないほど存在している。その製品も玉石混交と言えるだろう。いかにもブームに乗って、ただ売らんかなの販売をしているところもあるってことさ。

 そんな状況を見かねてか、インチキ健康食品を糾弾するメルマガや、ホームページがいくつかあるようだ。
 その主旨には賛成できるんだが、困ったことに似非科学(えせかがく)に毒された物言いが多いのには呆れてしまう。

 こういう輩の共通点の一つは『自然が良い、天然のものが良い』と連呼していることなんだ。
 良い良いと言うだけなら笑って済ませるんだが、都合の良いところだけ専門用語を使って科学的であることをにおわせ、最後は非科学的に自然が良い、天然品が一番と言うのが気に入らん。それでは、まるでインチキ健康食品の販売者と同じようなものじゃないのかい?

 例えば、ビタミンに関して言えば、同じ立体構造のものなら天然品も合製品も違いはないはずなんだがな。かえって、別の形にして吸収率を上げているものもあるんだから、自然だから良いとは言えんわけだ。それに、自然界のものには毒物が多いのも事実だろう。

 先日読んだ「ほ○も○志○委○会」というところの発行しているメルマガでは、光学異性体なんて言う専門用語まで持ちだした揚げ句に、ビタミンCは天然品と合製品は違うと書いてあり全く驚いたもんだ。

 確かにアスコルビン酸には異性体がある。L-アスコルビン酸」と「D-アスコルビン酸」という異性体だ。そのうちL-アスコルビン酸ビタミンCという。そして、D-アスコルビン酸エリトルビン酸(エリソルビン酸)といいビタミンCとは言わないのさ。

 つまり、ビタミンCといえば、天然だろうと合成だろうと「L-アスコルビン酸」ってことだ。アスコルビン酸には異性体があるが、ビタミンCに異性体はないってことさ。
 実は、おせっかいにもそのことを指摘してみたんだが、発行者からは音沙汰無しさ。馬耳東風ってところかな。馬と同じってことさ。

 また、「サプリメント、本当の話」と題されたホームページには『合成で作られた製品は、細胞にある受容体に跳ね退けられて、仕事ができないのです。』とか『果物や野菜をそのまま濃縮した成分が入っているような製品には、代謝に有益な酵素がたくさん入っていますが、この酵素は40度以上の熱を加えると死んでしまうのです。』なんて書いてある。

 まず、合成でないサプリメントってあるのかいってこと? そりゃあ、普通の食品だろう? サプリメントはみな合成品だと認識すべきだろうな。
 そして、細胞、受容体、酵素なんていう言葉を使いながら、言っていることはけっこうデタラメだ。

 受容体が合成品を跳ね退けるというのなら、世の中にクスリはなくなるだろう。
 それに、代謝に有益な酵素など果物や野菜には入っていないし、酵素が死んでしまうとはどういう意味だ?

 酵素は物質だ。生き物ではない。文学的解釈だと百歩ゆずって、働きを失うという意味に解釈してもおかしい。
 身体の中の酵素は、遺伝子の指令により、必要なときに必要なだけ作られる、個人々々、独自のタンパク質なのだから。

 この様な健康情報は、書いている人が本心から良かれと思っているだけに、質(たち)が悪いと言えるかもしれんな。

 20世紀半ば、分子生物学の成立によって特別な怪しい生命力なるものは否定された。生命も物理や化学の法則で説明できることになってしまったのだから、妙な屁理屈は通らん。
 分からないものは、分からないと言うべきなんだな。

(2002年7月-同月改訂)

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