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ライフサイエンス社の医学雑誌「治療学」2008年3月号に分子栄養学三石理論について執筆しました。


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■「週刊文春」の健康情報でびっくり

 「週刊文春」2003年5月29日号に、テレビ健康情報番組が毒にもクスリにもならないという記事があるというので買ってきました。でも、ここに書くのはその記事のことではありません。

 「安全生活シリーズ」の「自宅でできるSARS対策、免疫力アップの秘密」という記事のことです。その中で、T先生という医師があまりにインチキを言っているのに驚いたということなのです。

 少し引用してみましょう。

 「・・・日本人は刺身や生野菜の生食、そして漬物や納豆などの醗酵食品と、酵素を多く含む食品を好みます。韓国でも、生野菜の消費やキムチなどの醗酵食品で酵素を補給している。しかし、中国ではほとんどの食材に火を通してしまう。酵素は四十八度の加熱によりほぼ死んでしまうので、中国人は体内酵素の量が日本人や韓国人に比べて少ないと予想されるのです」

 おしゃべり分子栄養学の中でも何回か触れていますけど、酵素が大切だからと言って酵素を食べることにどれだけの意味があるというのでしょうか。酵素というのは体内の化学反応、つまり代謝を進めるための触媒です。物質としてはタンパク質です。それを食べれば基本的にはアミノ酸に分解されて吸収されるのみです。

 大切だという酵素は、各自の遺伝子によって作られる人それぞれの酵素なのです。その酵素は、栄養条件が整っていれば必要なときに必要なだけ作られるように制御されています。その時の酵素という意味において、酵素を食べることは全く意味がないといえるでしょう。

 “酵素は四十八度の加熱によりほぼ死んでしまう”などと具体的な数字を出すところも、だましのテクニックを利用した悪質さを感じます。酵素はタンパク質ですから当然、熱変性を起こし活性を失います。しかし、全ての酵素が四十八度で活性を失うわけではありません。それに酵素はタンパク質という物質であって生き物ではないので、死んでしまうというのも医師の言葉とは思えません。全くの噴飯物です。

 「中国人の酵素の補給源はお酢であった。」にいたっては、全く何を言いたいのか理解も出来ません。醗酵という現象とその結果できる物質、それと酵素を混同しているのでしょうか?

 まだまだツッコミを入れるところはたくさんありますが、これらのことは科学的じゃないとか言う以前の問題で、高校の生物の知識で充分理解できる範囲のことだと思います。友人に読ませたら「T先生、ハチャメチャ、この人ホントに医学部出てるの?」だって。

 そうなんです。私の記憶では、このT先生はK沢大学の医学部出身なはずです。現在、東京で開業しているれっきとした現役の医師です。
 なんでそんなこと知ってるかって?
 だって、私の昔の知人だったんですもの )*o*(

2003年5月

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