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ライフサイエンス社の医学雑誌「治療学」2008年3月号に分子栄養学三石理論について執筆しました。


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メタボリック・シンドロームリンゴ・ポリフェノール

迷ホラ吹き:最近、メタボリックシンドロームなんて言葉を聞くんですが、どういう意味ですか?

媚多眠氏:メタボリックは「代謝」、シンドロームは「症候群」といった意味ですね。

迷ホラ吹き:「代謝症候群」?
それじゃ、全ての病気のことのような気もしてきますが・・・。

媚多眠氏:代謝異常による症候群ということなんでしょうが、内臓脂肪の過剰蓄積による生活習慣病リスクの上昇状態を言うようです。

ぼやき先生:内臓脂肪が多くなると耐糖能異常高脂血症高血圧が合併する動脈硬化疾患のハイリスク状態になるということなんだな。

迷ホラ吹き:内臓脂肪?

媚多眠氏:皮下脂肪に対して内臓脂肪というんですが、よく「隠れ肥満」なんていうじゃありませんか。

迷ホラ吹き:見た感じの「デブ」とは違うってこと?

媚多眠氏:肥満の種類が違うということですが、両方を兼ねている人も多いことでしょうね。
ただ、そのうちの内臓に付く脂肪による肥満が問題だということです。

ぼやき先生:脂肪をため込むのが脂肪細胞なんだが、その脂肪細胞に関する研究が進んでいろいろなことが分かってきたということなんだな。

媚多眠氏皮下脂肪の分解されたものは全身にまわって筋肉で利用されますけど、内臓脂肪の分解産物は全部肝臓に入るんですよね。

ぼやき先生:分解産物というのは「グリセロール」と「遊離脂肪酸」で、全て門脈を通って肝臓に入るんだ。

迷ホラ吹き:それが良くないんですか?

ぼやき先生:グリセロールというのはグリセリンのことで、肝臓に行くとブドウ糖に変えられて血中に送りだされる。

媚多眠氏血糖値が上がるということですね。

迷ホラ吹き:なるほど。

ぼやき先生:遊離脂肪酸は、トリグリセライドやらコレステロールに変えられて血中に送りだされるだろうな。

媚多眠氏:トリグリセライドというのは、いわゆる中性脂肪のことです。

ぼやき先生:グリセロールは3価のアルコールで、それに3つの脂肪酸がくっついて中和されたものが中性脂肪だということさ。
そんなものが血中に増えるということなんだな。

迷ホラ吹き:それって、糖尿病とか高脂血症ってヤツじゃないですか?

媚多眠氏:それが問題だということです。

ぼやき先生:さらに脂肪細胞は、たくさんの「アディポサイトカイン」を放出していることが分かったんだ。

迷ホラ吹き:アディポ・サイトカインって舌噛みそうな名前ですね。
サイトカインは前に出てきましたから知っています。細胞作動物質でしたっけ。で、アディポはなんですか?

ぼやき先生adiposeのことで脂肪という意味さ。

迷ホラ吹き:なんだ、そのまんまの意味ですね。

ぼやき先生:その脂肪細胞が放出するサイトカインの中に「アディポネクチン」という注目すべきタンパク質があるんだ。

迷ホラ吹き:アディポ・ネクチン?

ぼやき先生:アディポネクチンの血中濃度が下るとインシュリンの働きが悪くなり、糖尿病の発症へ進むことが分かったんだな。

媚多眠氏:確か、インシュリンの働きが悪いと認知症になりやすいんですよね。

ぼやき先生:そのとおり。
インシュリン抵抗性が高いとボケやすいなんて話もあるんだ。だから、アディポネクチンの減少はボケにもつながりそうだってことさ。

迷ホラ吹き:へぇ〜。

ぼやき先生:さらに動脈硬化発症メカニズムのいくつかの部分にからんで、それを抑えていることも分かっているんだな。

媚多眠氏動脈硬化の初期というのは、血管の炎症部位の内皮細胞から「接着分子」が出て、白血球の「単球」が取りつくなんてことがあるんです。
アディポネクチンには、その接着分子を阻害して単球が取りつくのを邪魔する働きがあるんですよ。

迷ホラ吹き:単球ってマクロファージの前身でしたっけ?

媚多眠氏:そうです。
もし、血管内皮細胞に単球が取りつくと血管内膜に入り込んでマクロファージに分化するということです。

ぼやき先生:そのマクロファージは酸化LDLといういわゆる「悪玉コレステロール」をバクバク食べ始めるんだな。

迷ホラ吹き:やったー! がんばれマクロファージってか。

媚多眠氏:いえいえ、それが動脈硬化への進行段階なんですよ。

迷ホラ吹き:ええ〜! どうしてですか?

ぼやき先生:血管内膜で酸化LDLをバクバク食べるマクロファージは、塊になってしまうんだ。プラークなんていうんだがね。泡沫細胞の成れの果てさ。
そして、それこそ動脈硬化部分ということなんだな。

迷ホラ吹き:げげっ!
じゃあ、マクロファージは働かないほうがイイってこと?

媚多眠氏:ここではそういうことなんでしょうね。

ぼやき先生:マクロファージは、酸化LDLを取り込むときに「スカベンジャー受容体タイプA」なんて特殊な受容体を発現するんだが、アディポネクチンはそれをも抑制するんだ。

媚多眠氏:要するにアディポネクチンは2段階で動脈硬化を防いでいるといえるわけですよ。

迷ホラ吹き:免疫の話では頼りがいのあるマクロファージがここでは悪役だというのもビックリですが、アディポネクチンはエライですね〜。
にしても、こんなにイイ働きをするものが脂肪細胞で作られるのに、なんでデブがダメなんですか?

ぼやき先生:脂肪細胞に脂肪が貯まり過ぎて内臓脂肪型肥満になると、そのアディポネクチンの分泌量が下るんだな。

迷ホラ吹き:ありゃま、そりゃぁヒデ〜話だ。

ぼやき先生:それだけじゃない。
動脈硬化ってのは血管内膜が厚くなっているんだが、その原因は血管内皮細胞の過剰増殖なんだ。
アディポネクチンにはその増殖因子「PDGF」を抑制する働きもあるんだ。

迷ホラ吹き:ピーディジーエフ!?

ぼやき先生:「platelet-derived growth factor」の頭文字をとったものさ。

迷ホラ吹き:プレイトレット・ディライヴド・グロウス・ファクター?

媚多眠氏グロウス・ファクターは、増殖因子とか成長因子という意味ですね。

ぼやき先生プレイトレットは血小板、ディライヴドは由来するという意味さ。

迷ホラ吹き:・・・とにかく、アディポネクチンがあれば血管内皮細胞の過剰増殖による動脈硬化も抑えられるってことですね。
アディポネクチンばんざ〜いって感じだ!

媚多眠氏:そのアディポネクチンが出にくい内臓肥満の人は、動脈硬化に気をつけろってことがよ〜く分かりますね。

迷ホラ吹き:ぼくは身長と体重の比でいけば決して肥満ではありませんが、内臓肥満かどうかってのはどうやって分かるのですか?

ぼやき先生:目安はヘソ周りのウエストを測ってみることだな。85センチ以上だと要注意だそうだ。

迷ホラ吹き85センチ!
最近飲み過ぎの運動不足でやや太り気味のため、ぎりぎりですよ!!

ぼやき先生:それに血圧がやや高め、血糖値がやや高め、中性脂肪もやや多いなんてのがあれば、かなりの高確率といえよう。

迷ホラ吹き:血圧はやや高めですぅ!

媚多眠氏:それは気をつけたほうが良いですね。

迷ホラ吹き:内臓脂肪を減らすには、いったいどうしたらイイんですか?

媚多眠氏:アルコールを控えて適度な運動をするというのは必須条件でしょうね。

迷ホラ吹き:ほ、ほかには?

ぼやき先生コエンザイムQをしっかりとって基礎代謝をあげるのも大切なんだが、マウスの実験データだと「リンゴポリフェノール」に良い効果があると聞いたことがある。

媚多眠氏リンゴポリフェノールは、プロシアニジンを主とするいくつかの成分の集合体なのですが、数カ所での酵素阻害作用から血清コレステロール低下内臓脂肪の蓄積予防効果が認められているようです。

迷ホラ吹き:それはリンゴを食べればいいってこと?

媚多眠氏:データを見たかぎりでは、その効果は摂取量に依存しているところがありましたし、未熟果でないとたくさんは取れないのです。
リンゴポリフェノールは間引きしたリンゴに多い、ということですね。

迷ホラ吹き:リンゴ大好きなんですが、おいしいのじゃダメってこと?

媚多眠氏:悪くはないでしょうが、リンゴの未熟果からポリフェノール成分を抽出する技術は確立されているので、そのサプリメントを使うのが手っ取り早いと言えるんじゃないですか?

迷ホラ吹き:是非、飲んでみたいです!

媚多眠氏:リンゴポリフェノールを飲み始めると、便中に脂肪分が増えて便が浮くようになるといいますからお楽しみに。
おへそ周りが少しでも減ればしめたものです!

2005年11月
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