最近、立て続けに二つのトンデモさん的文章に出会ってしまいました。両者ともに、某メーカー営業担当者が販促資料又は勉強してくれと言って持ってきたものだというのが悲しい現実。 後で調べたらその著者は二人ともかなり有名な人で、本もたくさん出しているようですね。 ★まずは【西原克成】という人の文章です。 「日本医学の崩壊によるわが国の衰退と新しい治療医学の創始」 という題の文章ですが、目茶苦茶というか自己矛盾をおこした酷い文章でびっくり。そこで、チョコっとツッコミを入れてみることにしました。 この人、口呼吸で有名な人らしいけど、だいたい呼吸は鼻でするのが当たり前で、激しい運動をしたり鼻が詰まったりして仕方ないときに口でするだけだから、そんなことを大げさに言わなくたってイイ。当たり前のことをさも良い事のように言う、トンデモさんの常套手段の一つですね。 この文章で凄いのは、まず 『現在の免疫学が完璧に間違っているからです。』 と言いきっちゃってる! 『病気はウイルスではなく、エネルギー代謝の阻害によって引き起こされています。』 ・・・???・・・。 『エネルギーとは、質量のない重力や光線エネルギー、寒冷刺激、温熱刺激などのことをいい、』 ・・・???・・・。 この人、エネルギーを自分流に定義したあとはミトコンドリアの話をしている。 『寄生したバクテリアでした』 と決めつけるのはともかくとして、 『外からくる熱や重力など、エネルギーの影響をよくも悪くも受けやすいのです。』 ってのは何を言いたいのかさっぱり分からない。 『口呼吸が出きるのは、哺乳類の中で一歳以上の人類だけ。しかしこれは人体最大の構造欠陥であるといえます。』 じゃあ、鼻がつまったら窒息して死ぬしかないってかぁ? 『これゆえ、人類だけに存在する病気、免疫病がおきるのです。』 んなこたあ無いでしょう。 『口呼吸をすると、寝ている間にのどから雑菌がリンパを介して止めどなく血液や白血球の中に入って、身体中を巡ります。』 何で(`o´) 『この雑菌はもとは無害ですが、あらゆる臓器に入ることによって病気を引き起こします。』 あれ? 病気はエネルギー代謝の阻害によって起こるって、さっき言ったばかりジャン(-_-) 『これを世界で初めて発見したのが私です。』 ヴァカですかぁ!? 次に非難の的は冷たいものにいきます。 『世界中でビールを摂氏四度くらいに冷やして飲むのは、日本とアメリカ、東南アジアだけです。ヨーロッパでは常温か、冬のドイツでは四十度から八十度に温めて飲んでいます。』 だと。 それにヨーロッパの国だって冷やして飲みますよ。 ぼくの20年前の経験でも、通常は冷やしたビールが出てきました。 念のためドイツによく行く友人に訊ねましたが、ワインならともかく温めたビールなんか飲んだことはないと言ってました。 ネットで調べるとホットビールなるものもあるようですが、かなり特殊な感じ。通常飲まれているものではないようだし、八十度に温めるなんてあり得ないでしょう。お茶じゃないんだから(>_<) 『また冷たいものは、近年アメリカと日本で急激に増えているアルツハイマーの要因にさえなります。』 アメリカと日本で急激に増えているかどうかは知らないけど、原因のハッキリ解明されていない病気を持ちだせば、そりゃあ完全なる否定はできませんわな。 『腸を冷やすと、腸や神経のミトコンドリアが死に、エネルギー生産が止まるので、直ちに、神経細胞がアポトーシス(細胞死)を起こします。』 そりゃ、あなた、胃腸は冷やさないほうがイイに決まってますけど《ミトコンドリア》だ《神経細胞》だ《アポトーシス》だって、専門用語を並べて一般人をびびらせた割りには、説明がごっそりぬけているジャン(-_-) 『アメリカの富裕層が必ず食べる食後のアイスや日本人のビールがその原因に挙げられます。』 必ず食べるって、あんた見たんかい(*_*) 『冷たいビールを毎日二本づつ三十年間飲み続けると、』 冷たくなくても、毎日欠かさず飲んだら体に良いこと無いって。 『筋肉や神経が壊れ、』 なんで!? 『アルツハイマーをはじめ呼吸筋まひや失明を引き起こすのです。』 《アルツハイマー》《呼吸筋まひ》《失明》この三つを並列に述べるのがおかしいでしょ。 ビールの温度の時もそうだったけど、ここでも「毎日二本づつ三十年間」と具体的な数字をあげているところが悪質です。トンデモさんや詐欺師のよく使う、相手をだまくらかす手口ですな(^^ゞ この後もいっちゃってるぅ〜って感じですよ。 『現在の医学で行われているように脳だけを研究し、』 脳だけってことは無いってばぁ・・・。 『毒物やばい菌を探してばかりいても無意味です。病気になっているのはただただエネルギーが関係してなっているだけなのですから。』 あなたねぇ、よく一つの記事の中でそうコロコロ言うことを変えますネェ。雑菌が臓器に入って病気を引き起こすことを世界で始めて発見したのはあなたなんでしょ(-_-#! 『それを見落としているから、訳が分からなくなり「環境ホルモン」などと言い出す。』 な、な、なんで、突然《環境ホルモン》が? 愛すべき(かもしれない)西原さん、三つ目の問題点は「睡眠時間の低下」ですって。 立ったり座ったりしているときは骨髄での造血が止まって、不完全な血球しか作れなくなるとのこと。はあ、そうですか・・・。 そのヘンチクリンな理論の説明のために書いてある文章が 『肺の外呼吸と細胞のミトコンドリアの内呼吸を結んでいるのは、血液を動かす心臓ポンプと血球です。』 別にこんなややこしいこと言わなくても 『便利ですが、立って生活するかぎり、他の動物が成長完了期間の五倍生きるのに対し、人間は四倍しか生きられません。人間の成長完了は二十四歳。百二十歳まで生きるなんて、とても無理です。』 何が言いたいのか意味不明! 前文もそうだけど、具体的に数字を入れて読む人を信用させようという典型的な詐欺師的文章ですな。ほとんど無意味な数字だし睡眠時間の低下と言っておきながら、なかなかその話が出てこないじゃん(>_<) 『ヨーロッパの人などは、大人でも十時間くらいきちんと寝ています。』 だって。やっと睡眠時間の話が出てきたと思ったらこれだ。 最後の締めは そんなエネルギーの法則は初めて聞きました。 ぼくの住んでいる地球とは別の法則が通じる世界の住人のようですから)*o*( これは、雑誌「致知」の2004年2月号に載っている記事のコピーをもらったものなんですが、西原さん、なんとブルーバックスから「生物は重力が進化させた」なんて本も出しています。でも、やっぱり基礎物理に間違いがあるし、すでに多くの人にツッコミを入れられているようですね・・・(-_-;) それにしても、今だに「水にありがとう」(水は答えを知っている)なんて言う話を有難がるバカな小・中学校の先生がいるそうで、本当にあきれちゃう今日この頃です。 |