トランス型脂肪酸の害-1 媚多眠氏:プロスタグランディンについては、どんどん話がややこしくなっていくわけですが、ここまでのところ、大丈夫ですか? 迷ホラ吹き:いやはや、苦労しましたよ。前立腺に関係無いプロスタグランディンが身体の微調整をしていて、そのプロスタグランディンの材料になるのがアラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、エイコサペンタエン酸でしょう。 媚多眠氏:スタコラさっさとか、ヨッコラサなんていってたのに、スゴイじゃないですか。 迷ホラ吹き:もう21世紀ですからね。僕も心を入れ替えて、しっかり勉強しようかななんて思う、今日この頃なんですよ。 媚多眠氏:先生、迷ホラさんの気が変わらないうちに話を進めて下さい。 迷ホラ吹き:な、なんてことを・・・。でも、否定は出来ません・・・。 ぼやき先生:ウム、しかし、3つの不可欠脂肪酸を覚えてきてくれたことは、話が進めやすいというものだ。そして、すでにマーガリンの含むトランス型脂肪酸が身体に悪い理由は8割がた分ったと思うんだが・・・。 迷ホラ吹き:形が違うって話ですよね。 媚多眠氏:何回か言いますが、身体が要求しているのはトランス型ではなくてシス型なんです。 ぼやき先生:トランス型が良くないのは役に立たないだけでなく、結構居座るからなんだな。代謝されにくいってことだ。役に立たないものが居座って、増えていったら困るだろう。 迷ホラ吹き:そうなんですよ。思い切って捨てちゃえばいいんですが、僕の部屋なんかがらくたばかりで、肝心のものを見つけるのに時間がかかっちゃうんですよ。 ぼやき先生:身体でも、それとおんなじようなことが起こると考えればいい。 迷ホラ吹き:と、おっしゃいますと? ぼやき先生:プロスタグランディンは、基本的にさっさと働いて、さっさと無くならないといけないものなんだ。 媚多眠氏:材料をのんびり探している時間なんて無い、ということなんですよ。 ぼやき先生:つまり、トランス型が増えると探し物が見つからないのと同じことになる。 迷ホラ吹き:すると・・・? 媚多眠氏:プロスタグランディンの材料がないんですから・・・。 迷ホラ吹き:プロスタグランディンを作れない? 媚多眠氏:そういうことですね。 ぼやき先生:プロスタグランディンの働きは? 迷ホラ吹き:身体の微調整です。 ぼやき先生:ということは? 迷ホラ吹き:身体の微調整ができなくなるでしょうね。 媚多眠氏:いかにまずいかが分りましたか? 迷ホラ吹き:ええ、ええ。いかに危険かが分りましたよ。固定したハンドルで車を運転するところを想像しちゃいましたもの。 |
トランス型脂肪酸の害-2 ぼやき先生:実は、トランス型脂肪酸をとっていると、もっと恐ろしいことも起きているだろうな。 迷ホラ吹き:えっ? まだあるんですか? 活性酸素みたいに悪いやつなんですね。 媚多眠氏:活性酸素は、少しは役に立つところがありますが、トランス型脂肪酸に関して、役に立つところはほとんど分かりません。その意味では、活性酸素よりたちが悪い可能性が有ります。 迷ホラ吹き:恐ろしいことって、いったい、どんなことなんで? ぼやき先生:つまり、プロスタグランディンの材料になる前の問題なんだが、その材料はどこから持ってくるかって話は覚えているかい? 迷ホラ吹き:どこでしたっけ? 媚多眠氏:リン脂質ですよ。リン脂質にある2つの脂肪酸のうち、必ず片方が不飽和脂肪酸だって話を思い出して下さい。 迷ホラ吹き:そうでしたっけ。リン脂質といえば細胞膜で、その細胞膜から材料を切り出してプロスタグランディンを作る、なんていってましたっけねエ。 ぼやき先生:つまり、トランス型脂肪酸が居座るというのは、細胞膜に居座るということだったんだな。 迷ホラ吹き:わかりました。それで? ぼやき先生:細胞膜に役に立たない脂肪酸が増えたら、どうなるかってことさ。 迷ホラ吹き:細胞膜が、細胞膜としての働きをしなくなる! ぼやき先生:そういうことだ。 迷ホラ吹き:すると、どんなに恐ろしいんで? ぼやき先生:ガクッとくるね。 媚多眠氏:細胞膜というのは、細胞が必要とするものを外から受け取ったり、逆に細胞内の廃棄物を外に出したりしているんですよ。 ぼやき先生:そんな細かい説明はせんでも、生き物の最小単位が細胞だということを思い出したらピンとくるだろう。細胞膜が細胞膜としての働きをしなかったら、細胞は成り立たん。 迷ホラ吹き:そうですよねー! 役に立たない細胞膜なんて、細胞膜が無いのと同じわけだから、パーフォリンでやっつけられた、穴の開いた細胞みたいになっちゃうってことですね。 媚多眠氏:これで、いかにマーガリンが良くないかが分ったようですが、NK細胞の武器『パーフォリン』を覚えているのも立派でした。 迷ホラ吹き:パープリンなんちゃってね・・・。 ぼやき先生:・・・ま、しっかり覚えてくれればなんでも良かろう。 媚多眠氏:というわけで、マーガリンやショートニングに含まれる「トランス型脂肪酸」の悪さが理解できたことでしょう。 |
トランス型脂肪酸の害-3 迷ホラ吹き:クッキーやビスケットにはよくマーガリンやショートニングが使われているので、要注意ですよね。有名メーカーのポッ○ーなんてのは、マーガリンが入ってますねえ。 媚多眠氏:そうなんです。このあいだは、マーガリンを使った「ふりかけ」まで見つけて驚きました。 ぼやき先生:まあ、せいぜい自分で気をつけろということだな。 迷ホラ吹き:ところで先生、悪いからとらないほうがイイってのはわかりましたけど、とったほうがイイってのはなんですか? 媚多眠氏:そうですね。それを知ってこそ、せっかく覚えた3つの不可欠脂肪酸が役に立つというものです。 ぼやき先生:プロスタグランディンの原料となる不可欠脂肪酸が3つあるということは、プロスタグランディンが3つの系統に分かれるということなんだな。 迷ホラ吹き:なるほど。 ぼやき先生:ジホモガンマリノレン酸から作られる1系統、アラキドン酸からの2系統、エイコサペンタエン酸からの3系統となっている。そして1系統と3系統は、大雑把に言えばほぼ同じような働きをしているんだ。とにかく、これら3つの系統によって調節が行われるわけだから、どこに原料不足があってもまずいということは、わかるだろう。 媚多眠氏:2系統が右にハンドルを切るとすれば、1系統と3系統が左にハンドルを切るというような感じですよ。 迷ホラ吹き:これは、バランスが大切ってことですね? 媚多眠氏:そういうことになります。 迷ホラ吹き:ビタミンとタンパクはバランスより絶対量だったけど、ミネラルと脂肪酸はバランスということですか。 ぼやき先生:それは良いまとめだ。馬や牛より上だってことを証明したな。 迷ホラ吹き:素直に喜んでいいのかな・・・? 媚多眠氏:では、プロスタグランディンを考慮して、脂肪酸をバランスよくとるための注意することなどをお聞きしていきましょう。 ぼやき先生:結論から言ってしまえば、よほどの菜食主義者でなければ、普通の食事をしていてアラキドン酸が足りなくなることは、まず無いと考えていいだろう。 迷ホラ吹き:ということは、問題はジホモガンマリノレン酸とエイコサペンタエン酸だってことですね。 媚多眠氏:そうですね。ジホモガンマリノレン酸とエイコサペンタエン酸をとるには、何を食べたら良いかということになります。 ぼやき先生:まずはジホモガンマリノレン酸だが、これは体内でガンマリノレン酸から合成されるので、ガンマリノレン酸をとればよいということになっているんだ。 迷ホラ吹き:そのガンマリノレン酸をとるには、何を食べれば良いんで? ぼやき先生:母乳と月見草の種といったところだな。 迷ホラ吹き:母乳といえばお母さんのオッパイで・・・って、先生! そんなもの、普通、手に入りませんよ。 媚多眠氏:月見草の種もね。 |
トランス型脂肪酸の害-4 ぼやき先生:実は、牛乳やバターにも含まれている可能性はあるんだが、はっきりしたことは分らないんだ。しかし、体内で、ガンマリノレン酸が必須脂肪酸のリノール酸から合成されることは確認されているんだな。 迷ホラ吹き:なーんだ。最初からそう言って下さいよ。 ぼやき先生:ただしビタミンB6、亜鉛、マグネシウム、インシュリンなどの助けがないと合成できないんだ。 媚多眠氏:インシュリンは血糖値の調節に役立つホルモンですが、あとは栄養の問題ということですね。 ぼやき先生:そして当然、トランス型のリノール酸からは合成できないということだな。つまりトランス型脂肪酸は、その代謝を邪魔するということなんだ。 迷ホラ吹き:う〜ん。また複雑になってきましたね。 ぼやき先生:亜鉛やマグネシウムは不足しやすいミネラルだから、頭の片隅にいれておくといいだろう。 迷ホラ吹き:あ〜あ。結局1系統のプロスタグランディンを作るには、どうしたらいいんですか? ぼやき先生:取りあえずは、合成を邪魔するものを極力控えるということだろうな。場合によっては、月見草油をカプセル詰めした製品を使うということだ。 媚多眠氏:月見草油製剤は、生理痛の女性にはすごく評判が良かったのですが、最近ほとんど見かけませんので、とにかくトランス型脂肪酸を避けることが大切でしょう。 ぼやき先生:さて次は、3系統の材料になるエイコサペンタエン酸だ。 媚多眠氏:エイコサペンタエン酸は「EPA」とも言って、魚に多く含まれていますね。 迷ホラ吹き:魚を食べれば良いってことですか。ホルンの練習の後、アジの開きなんかを突っつきながら天狗舞・文政六年を呑むってのは良いもんで、ヘへ。 ぼやき先生:なんだい、それは? 迷ホラ吹き:旨い日本酒ですよ。石川県の酒なんですがね、焼きたてのアジをハフハフしながら食べて、文政六年のヒヤをクイッとやるんですよ。うーん、ヨダレが出てきちゃう。 ぼやき先生:三年だか六年だか知らんが、日本酒はともかくとして、アジの開きってのは少しだけ問題があるんだな。 迷ホラ吹き:えっ? おどかさないで下さいよ。何が問題なんですか? ぼやき先生:古くなると、過酸化脂質が増えるということなんだ。 媚多眠氏:干物は保存食だなんていってとっておかないで、さっさと食べなさいということですよ。 迷ホラ吹き:へー、そうなんだ。そういえば新しい干物の方が美味しいかなあ。 媚多眠氏:もう、迷ホラさんの頭は干物とお酒でいっぱいのようです。EPAの話は次回に繰り越しですね。 |