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おしゃべり分子栄養学 21
某フィルハーモニー管弦楽団所属<
迷ホラ吹き>さん、分子栄養学研究者<ぼやき先生>、
ぼやき先生を尊敬する薬店主<
媚多眠氏>による健康談義です。
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ガン細胞-異常増殖-1

媚多眠氏:ガン細胞には「不死性」と「異常増殖」という特徴があるという話でしたが、今回は異常増殖についてお話を聞きます。

迷ホラ吹き:前回のアポトーシスって言葉は、不思議な響で耳に残りましたね。

媚多眠氏:意味は、細胞の自殺ですしね。

迷ホラ吹き:細胞が自殺しちゃうってのもビックリだったんですけど、それは正常なことで、自殺しなくていつまでも生きているのがガン細胞なんだってんで、二重にビックリでした。

ぼやき先生多細胞生物にとって、死こそ自己を維持する術だということさ。

迷ホラ吹き:なんだか、哲学的になってきますね。

媚多眠氏:ガン細胞の不死性といえば、基礎医学や生物学の研究に無くてはならない細胞がありましたよね。

ぼやき先生ヒーラ(HeLa)細胞のことだな。

迷ホラ吹き:なんですか? それは。

媚多眠氏:今から40年位前に亡くなった人の細胞です。

ぼやき先生:1959年、アメリカのジョンスホプキンス大学病院で、子宮頸ガンのため死亡した若い黒人女性がいたんだが、彼女の名前はヘンリエッタ・ラックスという。

媚多眠氏:彼女のガンは悪性で、急激に進行するものだったんですね。

ぼやき先生:悪性だということは、増殖スピードが速く高い増殖能力を持っていたということなんだ。

迷ホラ吹き:なるほど。

ぼやき先生:その増殖能力に着目した研究者が、彼女の子宮頸ガンの細胞の一部を試験管内に培養してみたんだな。

迷ホラ吹き:すると?

ぼやき先生:期待通り、試験管内で増殖を続け、試験管から試験管へと増え続けて今日に至っているというわけさ。

媚多眠氏:ヘンリエッタ・ラックスさんは40年も前に亡くなっているのに、彼女由来の細胞はいまだに生きているということなんですよ。

迷ホラ吹き:なるほど、これぞガン細胞の不死性、ですか。ところで、なんでヒーラ細胞って言うんですか?

媚多眠氏:彼女の名前の頭文字をとってつけられたんですよ。

迷ホラ吹き:ふ〜ん。しかし、いくら名前が残ったとしても、彼女の正常な細胞が生き残っているのと違って、ガン細胞じゃあ遺族も複雑な気持ちでしょうねえ・・・。

ぼやき先生:なに、いまだに研究に役立っているんだから、誇らしく思っていいわけさ。


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ガン細胞-異常増殖-2

媚多眠氏:さて、異常増殖についてです。

迷ホラ吹き:異常増殖は、異常って言葉がついてますからね。いかにも勝手に増えそうで、気味悪いですね。不死性と違って、聞いただけで悪いってことが分かります。

ぼやき先生:そこで話を終わりにしてもいいが、まあ、もう少し詳しく話しておこう。

媚多眠氏:お願いします。

ぼやき先生:つまり、普通、正常な細胞は「接触阻止」を起こすんだが、ガン細胞は起こさないということなんだな。

迷ホラ吹き:「せっしょく・そし」?

ぼやき先生:普通の細胞をシャーレで培養すると、まず分裂して増えていくだろう。

媚多眠氏:シャーレって分かりますか?

迷ホラ吹き:さあ?

ぼやき先生:シャーレを知らなきゃ、シャーレにもならん、とな。

媚多眠氏:・・・・・。

迷ホラ吹き:く、く、苦しい・・・。

媚多眠氏:シャーレというのは平べったい円筒形をした、蓋付きのガラスの培養皿のことですよ。

迷ホラ吹き:先生の洒落は苦しかったですけど、だいたい分かりました。

ぼやき先生:そのシャーレの中で分裂して増えていった細胞は、シャーレの内壁に隙間なく一並びになると増殖が止まるんだ。

迷ホラ吹き:それを「接触阻止」と言うんですね。細胞同士が接触すると、増殖が止まるってことか。

ぼやき先生:まあ、そういうことだ。そして、それが正常細胞なんだな。

迷ホラ吹き:で、ガン細胞は、その接触阻止を起こさないってんでしたね?

ぼやき先生:そう。

迷ホラ吹き:すると、どうなるんですか?

媚多眠氏:いつまでも増殖するということですね。

ぼやき先生:つまり、シャーレ内で隙間なく一並びになっても増殖は止まらず、上へ上へと新しい細胞が盛り上がって増えていくんだな。

媚多眠氏:それを異常増殖というわけです。

迷ホラ吹き:なるほど。いつまでも死なず、接触阻止も起こさずに増殖する細胞って、想像してみると確かに化け物みたいな感じがしますね。

媚多眠氏:それが、ガン細胞の二つの大きな特徴なんですね。

ぼやき先生:正常細胞とガン細胞は、そのように性質が違うだけではなくて見た目も違うということだ。

迷ホラ吹き:見て、違いがわかるってことなんですか!?

ぼやき先生:そういうことだな。

媚多眠氏:もちろん、肉眼では見えませんよ。光学顕微鏡が必要です。

迷ホラ吹き:やっぱりネエ。この目で見えるかと思って、ちょっと期待しちゃいましたよ。

媚多眠氏:もちろん、手遅れになるくらい増殖してしまえば肉眼で見えるかもしれませんが、とにかく一個でもガン細胞は、不細工なんですって。

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ガン細胞-異常増殖-3

迷ホラ吹き:ブスなんだ!

媚多眠氏:ノーコメントです。

ぼやき先生:たとえ話でいこう。

媚多眠氏:お願いします。

ぼやき先生:きれいに整地された地面に『育ちの良い木が生えている』のが正常細胞で、デコボコの地面に『育ちの悪い木が生えている』のがガン細胞だと言えるんだな。

迷ホラ吹き:その景色は想像できますけど、その景色と細胞ってのがうまく結びつかないですよ。

ぼやき先生:ここで言う、地面というのは細胞表面だと思ってくれたらいい。

媚多眠氏:細胞膜の外側ということですね。

迷ホラ吹き:ふんふん、そして?

ぼやき先生:木というのは、細胞膜から突き出ているレセプターだと思ったらいい。

迷ホラ吹き:レセプター?

媚多眠氏:受容体のことですよ。コレステロールの話の時に「LDLレセプター」が出てきたのを思い出して下さい。

迷ホラ吹き:あ〜、いろいろなものを受け取る「細胞の手」ですね。

媚多眠氏:そうです。

ぼやき先生:人のからだの細胞膜は、主にリン脂質で出来ているという話をしたんだが、それは二層に重なっている。そのことをリン脂質の二重層なんて言うんだ。

媚多眠氏:リン脂質は飽和脂肪酸不飽和脂肪酸を含むなんて話もしましたが、それら脂肪酸とリン酸グリセロールにくっついているんです。

迷ホラ吹き:また、ややこしくなってきましたけど頑張ります。つまり、グリセロールってヤツに脂肪酸2つとリン酸、合計3つの酸がくっついているんですね?

媚多眠氏:そういうことです。

ぼやき先生:そして、グリセロールとリン酸が付いているところが「親水性」、脂肪酸の部分が「親油性」というわけだ。

迷ホラ吹き:「しんすいせい」に「しんゆせい」?

媚多眠氏:水と油の関係を思い出して下さい。

ぼやき先生:「親水性」というのは水になじむということで、「親油性」は油になじむということだな。

迷ホラ吹き:すると?

ぼやき先生:我々からだの細胞の内外は、水だと考えていいんだ。だから、二重層になっているリン脂質は、外側に親水性の方を向け、内側に親油性の方が来てきれいに並ぶということなんだ。

迷ホラ吹き:良く分からないですねえ・・・。

媚多眠氏:てるてる坊主の頭に、ひょろひょろと2本のヒモが付いた状態を想像してみて下さい。

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ガン細胞-異常増殖-4

迷ホラ吹き:そりゃあ、おもしろいや!

媚多眠氏:その坊主頭の部分が親水性で、グリセロールとリン酸の部分です。

迷ホラ吹き:ふんふん。

媚多眠氏:2本のヒモが親油性の脂肪酸ですよ。

迷ホラ吹き:なーるほど。わかりました。

媚多眠氏:本当に分かったんですか?

迷ホラ吹き:胴体の無い2本足のてるてる坊主が、親油性の足を向け合ってズラズラと並んでいるのが細胞膜なんでしょう。

ぼやき先生:お見事。

媚多眠氏:自分で言うのもなんですが、よく、あんな説明で分かりましたね。

迷ホラ吹き:この栄養学の話を何回か聞いて、想像力はだいぶ豊かになりましたからね。

媚多眠氏:まあ、そのうちちゃんとした図をお見せすることにして、その細胞膜にあるレセプターの話です。

ぼやき先生:細胞膜がリン脂質の二重層で出来ていることが分かってくれたようだが、その細胞膜には大概タンパク質が挟まっているんだな。

迷ホラ吹き:そのタンパク質が、レセプターだというんですね?

ぼやき先生:いや、酵素であったり、物質の通路であったり、レセプタータンパクであるということなんだ。そして、そのレセプタータンパクからは、細胞の外に向かって「糖鎖」が伸びているんだ。

迷ホラ吹き:「とうさ」?

ぼやき先生:そうさ。

迷ホラ吹き:ハハハ…。

媚多眠氏:先生!

ぼやき先生:糖鎖というのはいわゆる多糖体のことで、鎖のように長くつながった糖分子のことなんだ。

媚多眠氏:つまり、レセプターというのはレセプタータンパクに糖鎖がくっついているもので、これが細胞膜に挟まっているということなんですよ。

迷ホラ吹き:なるほど。

媚多眠氏:その糖鎖が木の枝のような感じで伸びているんで、『育ちの良い木が生えている』のが正常細胞、『育ちの悪い木が生えている』のがガン細胞、とたとえたわけですね。

ぼやき先生:そして、細胞表面、つまりガン細胞ではリン脂質の並び自体がデコボコしているということなんだ。

迷ホラ吹き:ガン細胞が不細工だということが分かりました。

媚多眠氏:その不細工なガン細胞が不死性を持ち、異常増殖するという特色を持つわけです。

迷ホラ吹き:分かりましたから、どうしたらガンの予防ができるかを教えて下さいよ。

ぼやき先生:まだまだ。次回は、もう少し突っ込んだ話をしようと思っているんだ。

2001年12月

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