食事とCM、お酒とVLDL-1 迷ホラ吹き:お米に関してひどい事件がありましたね〜。三笠フーズって会社。食用にならない「事故米」を食用として売っていたなんて、目茶苦茶。 媚多眠氏:「事故米」なんてくくりがあることにも驚きましたけど、そんな食用にならないお米は輸出国に返品すべきだと思うんですがね。 ぼやき先生:全くだ。 媚多眠氏:焼酎だけじゃなくて、日本酒にもその事故米が使われていたようですね。 迷ホラ吹き:熊本の《美少年》の一部の酒。 媚多眠氏:流石によく御存じですね。他の蔵は大丈夫なんでしょうか? 迷ホラ吹き:そりゃ知りませんけど、ぼくが呑んでるものは大丈夫です。 媚多眠氏:なるほど。純米酒なら何でも良いというわけじゃないんですね? でも、ラベルにちゃんと書いてあるんですか? 迷ホラ吹き:「米だけの酒」っていう「純米酒ではありません」と書かれたものもあるんで気をつけなきゃいけないんですが、純米酒だってのは最低条件ですね。 媚多眠氏:へぇ〜! 紛らわしいですね。 迷ホラ吹き:しかも、純米酒の中にもトホホなものがあるんですよ。 媚多眠氏:せっかくです。日本酒初心者のための純米酒の選び方を教えて下さい。 迷ホラ吹き:はい。まずは、いくら純米酒でも紙パックのお酒はやめましょう。 媚多眠氏:パック酒は美味しそうではないんで最初から選外でしたが、米については? 迷ホラ吹き:使用米が酒造好適米ならイイんですが、そうでない場合は、米の銘柄を明記してあること。酒造好適米に比べると高級飯米ですらとっても安いんです。 媚多眠氏:へぇ〜。 迷ホラ吹き:藤枝の《杉錦》には、飯米の「あいちのかおり」とか「ひとめぼれ」を使って価格を抑えた山廃純米酒があるんですよ。 媚多眠氏:「やまはい」ですか。 迷ホラ吹き:通常の速醸モトと違い山廃モトは手間のかかる酒母の造り方で、濃い味のものが多いです。 媚多眠氏:では、瓶の純米酒で、米の銘柄が明記してあればイイんですね。 迷ホラ吹き:知識が少ないうちは、アルコール分15%以上ってのもポイントかな。 媚多眠氏:分かりました。今度酒屋へ行ったら、ラベルをながめてみます。 迷ホラ吹き:是非。 媚多眠氏:はいはい、少し我慢してお勉強もしましょうね。 |
食事とCM、お酒とVLDL-2 ぼやき先生:アルコールも関係してくることだし、血清脂質の異常である高脂血症をもう少し詳しく知っておいた方が良いだろう。 迷ホラ吹き:また、アルコールの悪口を聞かされるんだ。 ぼやき先生:な〜にを言っておる。リスクを知らねば、対策も立てられないだろうって話さ。 迷ホラ吹き:ヘイヘイ、まずはなんのお話ですか? ぼやき先生:高トリグリセリド血症は、二つに分けて考えた方が良いって話だな。 媚多眠氏:中性脂肪を二つに分けて考えるということですね。 ぼやき先生:まずは、中性脂肪の運び屋といったら何だったか、二つ思い出してくれ。 迷ホラ吹き:リポタンパクの種類ってことですよね? 媚多眠氏:そうです。 迷ホラ吹き:脂が多いんですから、比重の凄く軽いものってことで「VLDL」。もう一つは、えっと、何でしたっけ? 媚多眠氏:CM。「カイロミクロン」ですよ。 迷ホラ吹き:ああぁ! 食事由来と肝臓由来でしたっけね。 媚多眠氏:そうです。外因性脂質代謝と内因性脂質代謝。 迷ホラ吹き:食事由来の外因性はカイロミクロンだから、カイロミクロンの中性脂肪は食べ物を気を付ければいい。でも肝臓由来の内因性のVLDLは関係ないって話? ぼやき先生:な〜にを言っておる。人間のからだで、食べ物が関係ないことなんかあるわけないだろう。 迷ホラ吹き:ひえ〜、はやくも2度目の「な〜にを言っておる」が出ちゃった。 媚多眠氏:直接的ではないし、影響する食べ物が違うということですよ。 ぼやき先生:カイロミクロンは主に小腸で作られるわけだから、食べた脂肪の量が問題になるんだな。 迷ホラ吹き:そうそう。 媚多眠氏:カイロミクロンによる中性脂肪が多い人は、食事に含まれる脂肪の量を考えなさい、ということですね。 迷ホラ吹き:じゃあ、VLDLの中性脂肪だったら? ぼやき先生:糖質やアルコールを減らす必要があるということさ。 迷ホラ吹き:前に、糖質から脂肪酸が作られて、それが中性脂肪になるってのはお聞きしましたけど、アルコールも中性脂肪と関係があるんですか。 媚多眠氏:適量なら問題ないんですよね。呑み過ぎるとVLDLが増えるんです。 迷ホラ吹き:う〜ん、つまり中性脂肪が増えるってんですね・・・? 媚多眠氏:不服そうですね。 |
食事とCM、お酒とVLDL-3 迷ホラ吹き:だって、アルコールは炭酸ガスと水になっちゃうんじゃないですか? ぼやき先生:その通りなんだが、その過程に問題があるんだな。 媚多眠氏:アルコールの代謝に問題があるということですね。 迷ホラ吹き:アルコールはアルデヒドになって、アルデヒドがお酢になって、最後に炭酸ガスと水になるんでしょう? ぼやき先生:ウム。 迷ホラ吹き:「ADH」と「ALDH」ってことは、アルコールが「A」でアルデヒドが「AL」、そして脱水素酵素が「DH」なんですね。 媚多眠氏:そうですね。脱水素酵素の「DH」はデヒドロゲナーゼのことです。 ぼやき先生:これはデ・ヒドロゲン・アーゼということで、「デ」は取り去る、「ヒドロゲン」は水素という意味だから水素を取り去る酵素ということだな。 迷ホラ吹き:アルデヒドは毒だけど、この代謝がスムースに進んで酢酸にまで変化すれば二日酔いにもならないし、問題なしじゃないんですか? 媚多眠氏:二日酔いの主な原因はアセトアルデヒドではない、ということが分かりつつあるようです。でも、中性脂肪の話はそれとは関係ないんですよね? ぼやき先生:少し厄介な話になるんだがな。 迷ホラ吹き:まいったなぁ・・・。デヒドロゲナーゼが関係あるんですか? ぼやき先生:その通り。 迷ホラ吹き:何ですか、それは。 媚多眠氏:「ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド (nicotinamide adenine dinucleotide)」で、頭文字をとって「NAD」ですね。 ぼやき先生:長い名前だが、3つにばらして考えれば記憶にあると思うんだがな。 迷ホラ吹き:なるほど。 ぼやき先生:NADは、ビタミンの一種の「ニコチン酸」から作られる、ということくらい覚えておいて欲しいものだな。 迷ホラ吹き:分かりました。「ニコチン酸」ですね。 媚多眠氏:Hは、まさに水素のことですね。 ぼやき先生:大雑把にいえば、水素の移動は電子の移動といえるんだ。 媚多眠氏:「還元」ということですね。 迷ホラ吹き:なるほど。電子を奪われるのが「酸化」で、くっつくのは「還元」か。 |
食事とCM、お酒とVLDL-4 ぼやき先生:ということで、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型がNAD、還元型がNADHということなのさ。 迷ホラ吹き:ビタミンは助酵素として働くなんてのを覚えていますよ。 ぼやき先生:これらは電子を運ぶものだろう。 媚多眠氏:ミトコンドリアの電子伝達系ですね。 迷ホラ吹き:何だか、懐しい響。 媚多眠氏:しっかりしてください。 ぼやき先生:脂肪酸をエネルギーにする時に「ベータ酸化」ということが起きているんだが、アルコールによってNADHが増えるとそのベータ酸化が阻害されるんだ。 媚多眠氏:エネルギー代謝を邪魔し、脂肪酸の分解が抑制されるということですね。 迷ホラ吹き:それって、肝臓によけいな脂肪酸がたまるってことでしょうか? ぼやき先生:うむ。 迷ホラ吹き:何ですか? その聞いたことあるような、ないような名前の物質は。 ぼやき先生:これは中性脂肪のもとになる物質なんだな。 媚多眠氏:脂肪酸がたまるだけでなく、中性脂肪のもとになるグリセロール3リン酸が増えたら、肝臓ではどんどん中性脂肪が合成されそうですね。 ぼやき先生:まさにその通り。 迷ホラ吹き:とほほ…。まわりくどい理由があったんですねぇ。 ぼやき先生:そうとも知らず呑み続けていれば、過剰に合成された中性脂肪を処理しきれなくなり、肝臓にたまることだろう。脂まみれの肝臓ということだな。 迷ホラ吹き:それって、脂肪肝ですか? ぼやき先生:フォアグラの出来上がりってことさ、ワッハッハ。 迷ホラ吹き:センセ! 笑い事じゃないですよ。 媚多眠氏:確かに。ほっとけば脂肪肝から肝硬変です。 ぼやき先生:タンパク質を筆頭に、ビタミンB2・ニコチン酸・B1などアルコール代謝に必須の栄養素が足りてないと、フォアグラははやく完成するだろうな。 媚多眠氏:抗酸化栄養素も必要ですね。 迷ホラ吹き:呑む時は、必ずタンパク・ビタミン・イチョウ葉エキスを飲んでます! ぼやき先生:しっかり栄養素を取っているからといって、からだの機能を上回るほど呑み過ぎていたらリスクは大きいだろう。 媚多眠氏:せっかくの栄養素が、焼け石に水とならなければいいのですがね。 迷ホラ吹き:そんな殺生な。 |